動画撮影で可変NDフィルターが必要な理由
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2026年、可変NDフィルター選びで迷っている人は多いと思う。
H&Y(エイチアンドワイ)、NiSi(ニシ)、Kenko-Tokina(ケンコー・トキナー)はどれも国内で手に入りやすい有力候補で、「どれを選べばいいの?」という声をよく聞く。
この記事では3ブランドの主力モデルをスペック・クロスムラ対策・価格・装着方式の4軸で比較し、動画派・写真派それぞれへの編集部の結論を出してみた。
動画撮影でNDフィルターが必要な理由 ── Log撮影・180度ルールとの関係
動画撮影では「180度ルール」というものがある。
簡単にいうと、シャッタースピードをフレームレートの約2倍に固定すると映像が自然な動きのブレになる、というセオリーだ。
24pなら1/50秒、30pなら1/60秒あたりが目安になる。
ところが晴天屋外での撮影では、これだと明るすぎて露出オーバーになってしまう。
絞りを上げると今度はボケが消える。ISOを下げるにも限界がある。
そこで出てくるのがNDフィルターで、光量だけを削ってシャッタースピード・絞り・ISOを狙いどおりに保てる。
さらにLog撮影(S-Log3やC-Log3など)はベースISOが高めに設定されているケースが多く、晴天では特にNDが欠かせない。
固定NDだと場面ごとにフィルターを付け替える手間がかかるが、可変NDなら1枚でND4〜ND1000相当まで連続調整できる。
これが「可変NDフィルターは動画の必需品」といわれる理由だ。
クロスムラ問題とは? 選び方で失敗しないための基礎知識
可変NDフィルターは2枚の偏光フィルター(偏光膜)を重ねて回転させることで光量を調整する仕組みだ。
この構造上、濃度を強くしすぎると画面の中央にX字(クロス)状の色ムラが現れる。
これが「クロスムラ」または「Xムラ」と呼ばれる現象で、特に広角レンズを使うと出やすい。
クロスムラは可変NDの原理的な宿命なので、ゼロにはできない。
ただし偏光膜の素材・精度・コーティングの技術が上がるほど出にくくなる。
最近の上位モデルはこのクロスムラを「どこまで抑えられるか」が設計のキモになっている。
選び方の基本は「使う最大濃度でクロスムラが出ないか」を確認すること。
動画で180度ルールを守りながら晴天撮影するなら、ND32〜ND64あたりが使用頻度が高い。
この濃度域でクロスムラが出ない製品を選ぶのが正解だ。
H&Y 可変NDフィルター EVOシリーズの特徴と強み ── マグネット式とクロスムラ低減技術
H&Yは香港発のフィルターブランドで、マグネット式着脱システムの先駆けとして知られている。
2024年に登場したEVOシリーズは「ねじ込み式」と「マグネット式」を1枚のフィルターで両立した意欲的なモデルだ。
EVOシリーズってどんな感じ?
最大の特徴は、付属のマグネット式アダプターリングをレンズに装着しておけば、フィルターをワンタッチで着脱・交換できる点だ。
複数のフィルター(CPL、ブラックミストなど)を同じマグネットシステムで管理できるので、レンズ交換の多いロケ撮影でかなり楽になる。
もちろんアダプターなしでそのままねじ込み装着も可能なので、既存のシステムを活かしながら移行できるのもいい。
光学ガラスはドイツSCHOTT社のB270素材をHD研磨で仕上げたもので、色再現性が高く帯電防止・撥水・防汚コーティングまで施されている。
正直このクラスのフィルターにしては手が届きやすい価格帯だと思う。
製品スペック・価格(HD EVO ND3-1000+CPL フィルターキット)
| サイズ | 型番 | 減光量 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| 67mm | EVND67 | ND3〜ND1000(約1.5〜10段) | 約17,600円(税込) |
| 77mm | EVND77 | ND3〜ND1000(約1.5〜10段) | 約22,900円(税込) |
| 82mm | EVND82 | ND3〜ND1000(約1.5〜10段) | 約24,700円(税込) |
※価格は2026年4月時点の参考価格。実際の販売価格は各ショップでご確認ください。
H&Y HD EVO 可変NDフィルターはこちらから:
NiSi 可変NDフィルター 2026年モデルの特徴と強み
NiSiは中国・広州発のフィルターブランドで、角型フィルターシステムの分野で世界的な評価を持つ。
円形の可変NDでも「True Color」テクノロジーという独自の偏光膜技術を引っ提げて、クロスムラ対策と色再現性の高さを同時に実現している点が地味に刺さる。
True Colorテクノロジーとストッパー機構がNiSiの本命
NiSi可変NDの最大の特徴は「True Colorテクノロジー」と「ストッパー機構」の組み合わせだ。
従来の可変NDでよく起きていた黄色・青かぶりを、可視光全域の透過・吸収を均一化した新開発偏光膜で解消した。
さらに物理的なストッパーで可変域を1〜5 stops(ND2〜32)に限定することで、誤って回しすぎてXムラが写るミスを構造的に防いでいる。
「使える範囲を絞ってでも確実にムラなしで使いたい」というニーズにぴったりくる設計だと思う。
ナノコーティング技術によるゴースト・フレア抑制、撥水防汚コーティングも備えており、プロ現場での実用性は十分。
マグネット対応については「JetMag True Color ND VARIO」というマグネットシステム専用モデルも展開しており、別売のJetMag Proアダプターリングと組み合わせることでワンタッチ着脱が可能になる。
個人的に良いと思っている点は、NDフィルターは基本的には劣化がするものだが、NiSiのNDフィルターは劣化がほとんど起きないと言われている点だ。
基本的には、安いNDフィルターにて劣化が目立つ風潮があるが、中でもNiSiは劣化に強いと一定の評価がある。
長く使いたいNDフィルターであれば、NiSiを選んでおけば失敗しないと考えている。
製品スペック・価格(True Color ND VARIO 1-5stops / ND2〜32)
| サイズ | 減光量 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 67mm | ND2〜ND32(1〜5段) | 約21,780円(税込) |
| 77mm | ND2〜ND32(1〜5段) | 約25,850円(税込) |
| 82mm | ND2〜ND32(1〜5段) | 約27,500円(税込) |
※価格は2026年4月時点の参考価格(NiSi公式サイトおよび国内取扱店ベース)。実際の販売価格は各ショップでご確認ください。
NiSi True Color ND VARIO 可変NDフィルターはこちらから:
NiSiのNDフィルターを愛用しているので、いくつか記事で紹介しているので、興味があれば見て欲しい。


Kenko-Tokina 可変NDフィルターの特徴と強み ── 国内流通・価格帯・装着性
ケンコー・トキナーは国内フィルターメーカーの老舗で、品質の安定感と国内流通の広さが魅力だ。
現行の主力モデルは「バリアブルND-W」(2024年10月発売)と「バリアブルNDXII」の2ラインがある。
バリアブルND-Wが新世代の主役
バリアブルND-Wの最大のポイントはクロスムラへの取り組みだ。
独自の製法で偏光膜を改良し、広角24mm(フルサイズ換算)でもXムラが出にくい設計になっている。
可動範囲はND2.5〜ND128相当の90度ストロークで、動画向けのレバーも付属する。
広角ズームを多用する動画クリエイターには地味にありがたい仕様だと思う。
一方バリアブルNDXIIは旧来の定番モデルで、ND2.5〜ND450相当の広い濃度レンジが強み。
価格もND-Wより抑えられていて、写真用途でNDを試してみたい人の入口としてはちょうどいい。
製品スペック・価格
バリアブルND-W(2024年10月発売・動画重視モデル)
| サイズ | 減光量 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 67mm | ND2.5〜ND128(約1.3〜7段) | 約57,200円(税込) |
| 77mm | ND2.5〜ND128(約1.3〜7段) | 約62,700円(税込) |
| 82mm | ND2.5〜ND128(約1.3〜7段) | 約66,000円(税込) |
バリアブルNDXII(定番モデル)
| サイズ | 減光量 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 67mm | ND2.5〜ND450(約1.3〜8.8段) | 約24,827円(税込) |
| 77mm | ND2.5〜ND450(約1.3〜8.8段) | 約24,250円(税込) |
| 82mm | ND2.5〜ND450(約1.3〜8.8段) | 約32,345円(税込) |
※価格は2026年4月時点の参考価格。
Kenko バリアブルND-W はこちらから:
Kenko バリアブルNDXII はこちらから:
【比較表】H&Y・NiSi・Kenko-Tokina ── クロスムラ・口径・マグネット対応・価格を一覧で見る
| 比較項目 | H&Y EVO ND3-1000+CPL | NiSi True Color ND VARIO | Kenko バリアブルND-W | Kenko バリアブルNDXII |
|---|---|---|---|---|
| 減光レンジ | ND3〜ND1000(約1.5〜10段) | ND2〜ND32(1〜5段) | ND2.5〜ND128(約1.3〜7段) | ND2.5〜ND450(約1.3〜8.8段) |
| クロスムラ対策 | HD研磨SCHOTT B270ガラス | True Color偏光膜+ストッパー機構 | 独自製法・広角24mm対応 | 新開発偏光膜 |
| マグネット装着 | 対応(ねじ込み兼用) | 対応(JetMagモデル限定。別売アダプター必要) | 非対応 | 非対応 |
| CPL内蔵 | あり | なし | なし | なし |
| 動画用レバー | なし | JetMagは別売オプションあり。 SWIFTはあり。 | あり | あり(着脱式) |
| 77mm 価格目安 | 約22,900円(税込) | 約25,850円(税込) | 約62,700円(税込) | 約24,250円(税込) |
| 主な口径展開 | 49/67/72/77/82/95mm | 40.5〜95mm | 67/77/82mm | 49/52/58/62/67/72/77/82mm |
| 国内流通 | 代理店・Amazon | 公式・Amazon | 公式・量販店・Amazon | 公式・量販店・Amazon |
※価格は2026年4月時点の各社公式価格・国内取扱店参考価格(税込)を参考掲載しています。
実際のご購入時は各ショップの最新価格をご確認ください。
H&Y・NiSi・Kenko-Tokina、3ブランドのどれを選ぶべきか?動画派・写真派別の編集部の結論
結論からいくと、用途と予算でかなりはっきり分かれる印象だ。
動画中心でコスパを重視するなら:H&Y EVO
ND3〜ND1000という広いレンジをカバーしつつ、CPLまで一体化されていて2万円台前半から手に入る。
マグネット着脱は一度使うと戻れないと思うくらい便利で、特に複数フィルターを頻繁に切り替える撮影スタイルにぴったりくる。
動画・写真どちらにも使いたい人への最初の1枚としてかなりおすすめしたい。
色かぶりなしで確実にND2〜32を使いたいなら:NiSi True Color ND VARIO
True Colorテクノロジーと物理ストッパーのコンビは、クロスムラを構造的に防ぐアプローチとして独自の完成度があると思う。
「ND32まで使えれば十分」という動画撮影者には77mmで約25,850円というコスパも悪くない。
ただし可変域がND2〜32(1〜5段)と狭めなので、ND64〜ND1000の高濃度域が必要な場面では物足りなさを感じるかもしれない。
NiSiはさらに5-9 stops(ND32〜ND500)モデルも展開しているので、ハイトーン撮影が多い人は組み合わせを検討してほしい。
広角レンズの動画撮影でXムラを絶対避けたいなら:Kenko バリアブルND-W
価格は77mmで約6万円とH&Y EVOの3倍近くする。
ただ広角24mm相当でもXムラが出にくい設計は、シネマティックなカメラワークで広角を多用する人にとっては大きな安心感があると思う。
正直、ここまでの予算が出せるなら迷わずこっちを選んでほしい1本だ。
写真用途がメインで予算を抑えたいなら:Kenko バリアブルNDXII
国内流通が広く、ヨドバシやマップカメラでも在庫が見やすいのが地味に助かる。
ND450相当まで使えるので長時間露光の風景写真などにも対応できる。
個人的には動画より写真メインの人や「まず可変NDを試してみたい」という人の入口として悪くない選択肢だと思う。
どれを選んでも「クロスムラが出る限界の濃度域では使わない」ことを意識するだけで、実用上の問題はほぼ出ない。
自分のメイン用途・レンズの焦点距離・予算の3つを照らし合わせて選んでほしい。
引用元: H&Y Filters Japan 公式サイト、 NiSi 可変ND TRUE COLOR ND VARIO 製品ページ、 NiSi 可変ND True Color ND VARIO スペシャルサイト、 ケンコー・トキナー バリアブルND-W 製品ページ、 ケンコー・トキナー バリアブルND-W 新製品情報(2024年10月)、 ケンコー・トキナー バリアブルNDXII 製品ページ、 デジカメ Watch:H&Y EVO フィルター発売記事、 PRONEWS:ケンコー バリアブルND-W 発売記事


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