ソニーがついに「通し F4.5」超望遠ズームを発表
2026年5月13日、ソニーが新型Gマスター超望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5 GM OSS(SEL100400MC)」を発表した。
ズーム全域で開放F値4.5を維持する定常絞りを採用し、旧モデル「SEL100400GM」比で最大約3倍高速化したAFを搭載。
インナーズーム構造による重量バランスの安定性も加わり、野鳥・スポーツ・航空機撮影のユーザーから注目を集めている。
Sony FE 100-400mm F4.5 GM OSSとは?新世代Gマスター超望遠ズームの概要
SEL100400MCは、2017年に発売されたSEL100400GM(FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS)の後継にあたる超望遠ズームレンズだ。
旧モデルで課題だった「400mm端でのF5.6」という開口上限を打ち破り、ズーム全域でF4.5を維持。
さらにインナーズーム(ズーム時にレンズ全長が変わらない)構造を採用し、プロ現場での扱いやすさを大幅に高めた。
α7R VIと同日発表されたことからも、ソニーが「高解像度+超望遠AF」という組み合わせを強く意識していることがわかる。
発売日・価格・型番(SEL100400MC)
型番は SEL100400MC。
日本での発売日は 2026年6月5日 を予定しており、2026年5月19日10時より予約販売が開始される。
価格はオープン価格で、市場推定価格は 約73万円前後(税込) とされている。
北米での価格は $4,299.99 USD。
全スペック一覧|定常F4.5・インナーズーム・4基XDリニアモーターの実力
ざっくり主要スペックを整理しておこう。
| 項目 | SEL100400MC(新モデル) |
|---|---|
| 焦点距離 | 100–400mm |
| 開放F値 | F4.5(ズーム全域・定常) |
| 最小F値 | F32 |
| レンズ構成 | 20群28枚 |
| 絞り羽根 | 11枚 |
| 最短撮影距離 | 0.64m(ワイド端)/ 1.5m(テレ端) |
| 最大撮影倍率 | 0.25倍 |
| フィルター径 | 95mm(フロント)/ 40.5mm(ドロップイン) |
| 重量 | 約1,840g(三脚座含む) |
| AFモーター | XDリニアモーター×4基 |
| ズーム方式 | インナーズーム |
| 防塵防滴 | あり(全域) |
| テレコンバーター | SEL14TC(1.4x)/ SEL20TC(2x)対応 |
光学設計(20群28枚・ED XA採用)
光学系は20群28枚構成で、新開発の「ED XA(超低分散非球面)」レンズを含む複数の特殊レンズを組み合わせた。
具体的にはED XA、XA(超非球面)、スーパーED×2枚、ED×3枚を採用しており、色収差・フレアをしっかり抑えている。
旧モデルが16群22枚だったことを考えると、光学系が大幅に刷新されたことがわかる。
AF性能(旧モデル比最大3倍速・追従50%改善)
AFはXDリニアモーターを4基搭載し、旧モデル比で最大約3倍の高速化を実現した。
動体追随性能も最大約50%向上しており、α9 IIIの120fps連写に対応するだけの精度がある。
野鳥の飛翔や選手の動きなど、予測しにくい動体を撮る機会が多い人には地味にうれしいアップグレードだと思う。
サイズ・重量・防塵防滴
重量は約1,840g(三脚座含む)で、インナーズームのため全長はズーム中に変化しない。
旧モデル(SEL100400GM)が三脚座なしで1,395gだったことを考えると、かなり重くなっている。
ただしインナーズームのおかげで重心の移動がなく、三脚や一脚での安定感は旧モデルより良いはずだ。
防塵防滴は全域対応で、前玉にはフッ素コートを採用。水滴や油脂が付着しにくい仕上げになっている。
旧モデル「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」との違い・比較表
旧モデルとのスペック差を一覧で比べてみよう。
| 項目 | SEL100400MC(新) | SEL100400GM(旧) |
|---|---|---|
| 開放F値 | F4.5(定常) | F4.5–5.6(可変) |
| レンズ構成 | 20群28枚 | 16群22枚 |
| 絞り羽根 | 11枚 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.64m(W端)/ 1.5m(T端) | 0.98m |
| 最大撮影倍率 | 0.25倍 | 0.35倍 |
| フィルター径 | 95mm / 40.5mm(ドロップイン) | 77mm |
| 重量 | 約1,840g(三脚座含む) | 1,395g(三脚座除く) |
| ズーム方式 | インナーズーム | 外繰り出し式 |
| AFモーター | XDリニアモーター×4基 | DDSSMシステム |
| AF速度 | 旧比最大約3倍 | 基準 |
| 動体追随 | 旧比最大約50%向上 | 基準 |
絞り値の差(F5.6 → F4.5 通し)で何が変わるか
旧モデルは400mm端でF5.6まで絞り込まれるため、薄暗い環境では感度(ISO)を上げるか、シャッタースピードを落とす必要があった。
新モデルはズーム全域でF4.5をキープするため、光量が約1/3段分多く取り込める。
たとえば夕暮れの野鳥撮影でISO 1600が必要だった場面が、ISO 1000前後に抑えられるイメージだ。
テレコンバーター使用時も同様で、1.4x TCを付けるとF6.3、2x TCでF9になるが、旧モデルに同じTCを付けた場合よりも明るく使えるのは正直ありがたい。
インナーズーム採用で撮影スタイルはどう変わる?
旧モデルは外繰り出し式のため、ズームを変えるとレンズ前部が伸縮し、全長が変化する。
インナーズームではズーム操作をしても全長が変わらないため、重心が安定し、一脚や三脚へのマウントが楽になる。
また、前玉が動かない構造はズーム操作によるレンズ内部への埃の侵入を抑えられる点でもメリットがある。
ズーム時に前部が動かないことでフードが外れにくく、砂埃・雨の多いアウトドア環境でも安心感がある。
ドロップインフィルター(40.5mm)が追加されたのも、前玉が大きくなったことへの実用的な回答だと思う。
重量増のトレードオフ
定常F4.5・インナーズームという二大アドバンテージを得た代わりに、重量はしっかり増えている。
旧モデルの三脚座なし1,395gに対し、新モデルは三脚座込みで1,840g。単純比較で450g以上重い。
長時間の手持ちでの野鳥撮影や、機動性重視の航空機撮影では、ちょっと厳しいと感じる場面もありそうだ。
旧モデルのほうが軽さと機動性のバランスが良い、という人は引き続き旧モデルが選択肢になるだろう。
対応テレコンバーター・α7R VIとの組み合わせ活用法
SEL100400MCはソニー純正の1.4xテレコンバーター(SEL14TC)と2xテレコンバーター(SEL20TC)に対応する。
SEL14TC装着時は140–560mm F6.3、SEL20TC装着時は200–800mm F9 という焦点距離になる。
APS-Cクロップを使うとそれぞれ最大840mm・1,200mmという超望遠域まで使えるのが面白いところだ。
α7R VIとの組み合わせでは、6100万画素の高解像センサーと3倍速AFの組み合わせが光る。
α7R VIが持つ高速AF処理とリアルタイムトラッキングに、SEL100400MCのXDリニアモーター4基が応答することで、飛翔する鳥や高速移動する選手を高精細に捉えやすい構成になる。
α9 IIIの120fps連写との組み合わせも、動体撮影では魅力的な選択肢だ。

FE 200-600mm G OSSとの比較|テレコン装着で焦点距離が重なる?
SEL100400MCを検討するとき、もう一本どうしても気になるのがSEL200600G(FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS)だ。
テレコンを付けると焦点距離が重なってくるし、価格帯もかなり違う。
両者のスペックをざっくり比べてみよう。
基本スペック比較
| 項目 | SEL100400MC(GM) | SEL200600G(G) |
|---|---|---|
| 焦点距離 | 100–400mm | 200–600mm |
| 開放F値 | F4.5(定常) | F5.6–6.3(可変) |
| レンズ構成 | 20群28枚 | 17群24枚 |
| 絞り羽根 | 11枚 | 11枚 |
| 最短撮影距離 | 0.64m(W端)/ 1.5m(T端) | 2.4m |
| 最大撮影倍率 | 0.25倍 | 0.2倍 |
| フィルター径 | 95mm / 40.5mm(ドロップイン) | 95mm |
| 重量 | 約1,840g(三脚座含む) | 約2,115g |
| ズーム方式 | インナーズーム | インナーズーム |
| 防塵防滴 | あり | あり |
| テレコン対応 | SEL14TC / SEL20TC | SEL14TC / SEL20TC |
| ソニーストア価格(税込) | 約73万円前後 | 332,200円(税込) |
テレコンバーター装着時の焦点距離はどう重なるか
テレコンを使うと、SEL100400MCの焦点距離域がSEL200600Gと大きく重なってくる。
下の表で整理してみると、わかりやすいと思う。
| 構成 | 焦点距離 | 開放F値 |
|---|---|---|
| SEL100400MC(単体) | 100–400mm | F4.5(定常) |
| SEL100400MC + SEL14TC(1.4x) | 140–560mm | F6.3 |
| SEL100400MC + SEL20TC(2.0x) | 200–800mm | F9 |
| SEL200600G(単体) | 200–600mm | F5.6–6.3(可変) |
| SEL200600G + SEL14TC(1.4x) | 280–840mm | F8–F9 |
| SEL200600G + SEL20TC(2.0x) | 400–1,200mm | F11–F13 |
SEL100400MCに2xテレコンを付けると200–800mm F9になり、SEL200600Gの単体域(200–600mm)をほぼカバーしてしまう。
ただし開放F値はSEL200600Gのほうが明るく(F5.6–6.3 vs F9)、テレコンありの状態ではSEL100400MCは大幅に暗くなる点は正直厳しい。
「焦点距離が重なる=どちらでも同じ写真が撮れる」わけではなく、明るさの差が実用に響く場面は多い。
どちらを選ぶべきか?用途・予算・携帯性の観点
ざっくり言うと、選び方のポイントはこんな感じだと思う。
- SEL100400MCが向く人:Gmasterの解像力を求める人、100mmからの広い焦点距離域が必要な人、定常F4.5の明るさにこだわる人、予算に余裕がある人。約73万円という価格はそれなりにしんどいが、光学性能と汎用性のバランスは群を抜いている。
- SEL200600Gが向く人:600mmという長い焦点距離域を優先したい人、予算を30万円台に抑えたい人、重量よりも望遠端の長さが撮影機会に直結する人(遠い野鳥・航空機など)。30万円台で買えるのはかなりコスパが良い。
個人的には、テレコンで焦点距離を稼ぐよりも、それぞれ単体で使える焦点距離域を優先して選んだほうがすっきりすると思う。
「SEL100400MCにテレコンを付けてSEL200600Gの代わりに使う」というシナリオは、F9という暗さを考えると実用面でちょっと厳しい場面も出てくる。
予算が許すなら両方持ちが最強ではあるが、どちらか一本で超望遠をカバーしたいなら、望遠端の長さを優先してSEL200600Gという選択も十分ありだと思う。

野鳥・スポーツ・航空機撮影での実用性
野鳥撮影では、400mm定常F4.5という光量確保がかなり効いてくる場面が多い。
朝夕のマジックアワーや林内の暗いシチュエーションで、旧モデルよりも自信を持ってシャッターを切れるはずだ。
インナーズームによる全長変化がないため、三脚・ジンバルへのバランス設定がズーム操作で狂いにくいのも地味に助かる。
スポーツ・航空機撮影では、最大3倍速のAF速度向上と動体追随50%改善が直接的なアドバンテージになる。
α9 IIIの高速連写と組み合わせたとき、決定的瞬間を逃しにくくなるという期待感は大きい。
一方で1,840gという重さは屋外での長時間手持ちにはしんどく、一脚や三脚との組み合わせがほぼ前提になりそうだ。
旧モデルから買い替える価値がある?F4.5通し重視派への結論
個人的には、「薄暗い環境や夕刻以降の撮影が多い」「テレコンをよく使う」「インナーズームの安定性を求める」という人には、明確にアップグレードの価値があると思う。
約73万円という価格は安くないが、定常F4.5・XDリニアモーター4基・インナーズームという3つの大きな変更点を考えると、プロや本気のハイアマチュアには十分な投資対効果があるのではないか。
一方で「ズームで1,840gは持ちたくない」「旧モデルの1,395gでも十分重い」という人には、正直なところあまり向かない。
旧モデルSEL100400GMはまだ現行品として購入できるため、重量と価格を優先するなら旧モデルも選択肢として残る。
SEL100400MCの予約開始は2026年5月19日。まず実機を触ってから判断するのが一番いいかもしれない。
引用元: ソニー公式 SEL100400MC製品ページ、 ソニー ニュースリリース(2026年5月13日)、 Sony Electronics Press Release(PR Newswire)、 CineD – Sony FE 100-400mm F4.5 GM OSS Announced、 DPReview – Sony FE 100-400 f/4.5 GM OSS Announcement、 ソニー公式 SEL100400GM 主な仕様、 ソニー公式 SEL200600G 主な仕様


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