スポットエアコンとルームエアコンの違い
今年は世界的な猛暑が続いており、6月〜8月はエアコンを買っても設置業者を確保できないため、取り付けが完了している頃には夏が終わっているとか終わっていないとか、散々な年だろう。
そんな中、どうにかしたいという考えの元スポットエアコンを購入したので、レビューしていきたい。
まず、スポットエアコンとルームエアコンの違いについてまとめていきたい。
スポットエアコン | ルームエアコン(家庭用) | |
---|---|---|
工事の有無 | 無し。窓にパネルを取り付け | あり。壁に穴を開ける可能性も |
電源について | 普通の100V | 場合によって200Vも |
対応畳数 | 4~10程が一般 | 6~25程が一般 |
価格 | 3~7万 | 6~35万 |
除湿 | あり。ただしバケツ必須 | あり。考慮不要なメンテナンス性 |
移動の有無 | 有りだが、実質的に移動は不可能 | 無 |
なお、エアコンは11月が最も安く設置業者も確保できるため、計画的なエアコンの導入を検討している方は、普通のルームエアコンを11月の値下がり時期に購入したほうが良い。
コンパクトな冷風機は買うな
スポットエアコンよりも安いコンパクトな冷風機も検討している方は、すぐに考え直したほうが良いかもしれない。
多くの冷風機は、水などを使用して冷風を作り出すが、湿度を上げてしまうデメリットがある。
そのため、最初は涼しいものの湿度が上がったことで地獄ような暑さが後に待っているというレビューも多く見受けられた。
やはり、夏の暑さを回避するためには除湿も行えるヒートポンプ式のエアコンを導入する必要がある。
経済的には間違いなく普通のエアコンが良い
今回購入したスポットエアコンは「アイリスオーヤマ IPP-2222G」だ。
スポットエアコンは、名前のとおり一部の部屋しか冷やすことができない。
さらに電力が600W~700Wほどであるため、1日12時間の利用で月に4,000円から9,000円ほどの電気代がかかる。
対して、一般的なルームエアコンは初期投資が大きいが部屋全体のみならず、家全体を冷やすポテンシャルがある。
ルームエアコンの方が電気代も安く、スポットエアコンはルームエアコンの1.5倍の電気代がかかる。
このことから、長い目で見ると間違いなく10万円以上しても、ルームエアコンを使ったほうが経済的だ。
なので、初期投資が安いからと言って多くのユーザーはスポットエアコンを購入するべきではないだろう。
筆者は数年で引っ越す予定の北海道在中
計算までしてルームエアコンではなく、スポットエアコンを選んだ理由を解説しよう。
筆者は北海道に在中しており、5年以内に引っ越しを予定している。
そのため、以下の観点でルームエアコンではなくスポットエアコンを購入した。
- 最近の賃貸はルームエアコン付きも珍しくない。次の引越し先の繋で良いためルームエアコンは買わない
- エアコン付き賃貸はエアコンが壊れるとオーナーが修理義務がある
- 北海道の夏は7月と8月のみ。5年で考えると10回しか無い
- 賃貸でエアコンを付けると原状回復義務により退去時にコストがかかる上に、取り外しも費用もかかる
- アイリスオーヤマのルームエアコンが3万円以下だった
数年後に引っ越しを考えているのであれば、あえてルームエアコンを買う必要はない。次の引っ越しの時にルームエアコンをついていればよいのだ。
スポットエアコンは、ルームエアコンよりも1.5倍の電力だとしても、北海道は年に2ヶ月だけ耐えれれば良い。
アイリスオーヤマ IPP-2222Gのスペック
「アイリスオーヤマ IPP-2222G」の対応畳数は、4畳から7畳ほどとなる。
除湿機能も「ノンドレイン方式」となっており、水分を外に除去してくれる機能がある。
内部洗浄モードなどもあり、必要最低限な機能はすべて搭載されている。
重量も20キロほどとなっており、持ち上げることは重労働であるため、キャスター移動が必須である。
リモコンや上部に操作ボタンが配置されており、必要最低限の機能が搭載されている面で好印象がある。
排熱ダクトを窓へ固定するパネルに関しても、固定作業はワンタップで固定できる点も操作性が良くて印象が良い。
600Wで7畳を冷やせる魅力
先程も述べたが、消費電力が600Wというのは以外と低い。
暖房だと1000Wを超えるヒーターが多いが、エアコンは空気中から冷気と暖気を分けるヒートポンプ式が採用されている。
そのため、冷気を作り出すのではなく、空気から冷気を分けているため消費電力が少ない。
600Wという電力で身近なのはゲーミングPCだ。
消費電力もゲーミングPCの電源と変わらないと考えるとそこまで辛くはない。
1日12時間ゲームをしているユーザーは、スポットエアコンの電気代を気にする必要はないだろう。
吸引ダクトの有無がスポットエアコンの利便性を分ける鍵
今回購入した「アイリスオーヤマ IPP-2222G」は、排気用のダクトとして1本しか無い。
また、価格的にしょうがないところではあるが、このダクトとパネルパーツに隙間が多く存在する。
ダクトホースもプラスチック製であるため、周囲の温度は上がっているように感じられる。
この対策として、我が家では断熱材をダクトホースに巻きつけることで対応している。
ちゃんと対策する場合は、同じ太さ大きさの断熱材が組み込まれている社外製のダクトホースを取り付けるとよいだろう。
パーツの接続ごとに隙間もあるため、見栄えが悪いがテープで隙間を埋めるようにしている。
話を戻してスポットエアコンは、部屋の空気から熱い空気をダクトを通して外に逃がす構造をしている。
そのため、家の窓をすべて閉めると気圧が変わり、隙間から空気が入るようになる。
(家の空圧が変化するとドアが重くなる現象)
気圧が変わりすぎると、スポットエアコンから排出された熱が隙間風として戻ってきてしまい、廃棄した熱が部屋に入ってしまう。
そのため、吸気と排気のダクトを2本あるスポットエアコンの方が利便性が高いだろう。
もし、買い直すことがあれば間違いなく、ダクトが2本のモデルを買う。
20畳の今では全く冷えない。28度で頭打ち
筆者のリビングこと居間は20畳ある。
対応畳数が7畳の「アイリスオーヤマ IPP-2222G」で試したところ、外の温度が30度の場合、28度までしか下がらなかった。
エアコンの対応畳数に騙されるな!に騙された
一般的にエアコンの対応畳数は、家の断熱性能が皆無な住宅を想定している。
そのため、気密性も断熱性能も高い住宅であれば広い家でも6畳対応のエアコンで十分に冷やすことができるとかで、平成以降の物件だと余裕を持った畳数で良いらしい。
これを信じて7畳までしか対応していないスポットエアコンを購入したが、20畳の部屋では見事に冷えなかった。
10畳の寝室はちゃんと冷えているので、対応畳数よりも少し余裕を持った畳数でも利用できるとは考えている。
高気密・高断熱住宅ではない環境で、7畳対応のエアコンで20畳で検証したことがそもそもの間違い。
本件に関しては完全に筆者が悪いので、参考までにして欲しい。
冷房よりも除湿がすごい
正直なところ、冷房性能よりも除湿性能に驚いている。
除湿された部屋だと28度でもそこそこ快適であることに気付いた。
夏のだるさから脱却するためには、適度な温度と湿度をコントロールすることで、快適に過ごすことができる。
12時間稼働すると、写真のとおり10リットルのバケツ1杯分の水分を貯めることができた。
ノンドレイン方式であるため、一部は外に逃げていることを考慮すると、12時間で15リットルほどの水分を空気中から除去しているかもしれない。
寝室に置くことで、ベタつきがなくなったことで確実に睡眠の質が上がったため、この点ではスポットエアコンを導入してよかったと思っている。
移動できることを売りにしているが、パネルのすきまテープを考えると移動は不可能
スポットエアコンの多くは、キャスターにより移動が便利と紹介している。
実際のところ、移動はパネルの関係で不可能だ。
窓にダクト用のパネルを取り付けて、高さに合わせてすきまテープを貼り付ける。
パネルを取り外すためには、一度すきまテープを剥がす必要がある。
移動先の窓も同じ大きさであれば上手くテープを剥がすことで解決するかもしれないが、窓の大きさは殆どの場合異なっている。
そのため、スポットエアコンを移動するたびにすきまテープを貼り付け直すことを考えると利便性はかなり低い。
すきまテープは、ダイソーなどにも売っているが、移動するたびに100円かかると考えるとコスパが悪すぎる。
そのため、我が家では寝室に固定する形でスポットエアコンを置くことにした。
固定する決断ができたからこそ、ダクトへ断熱材をぐるぐる巻きにして、ガムテープで隙間を埋める事ができた。
音は絶望的にうるさいがDysonの送風機のMaxに慣れていれば問題ない
スポットエアコンや窓取り付けエアコンは、騒音がすごい。
今回購入したアイリスオーヤマ IPP-2222Gも例外ではなくうるさい。
ただ、元々Dysonの送風機を2台でMax送風していた環境であったため、騒音には耐久性がある。
そもそも、優先度が「熱苦しい >>> うるさい」であるため、メリットとデメリットのトレードオフであると受け入れたほうが楽だろう。
秋になると収納が課題
北海道になると冬は気密性を上げるためにパネルをしまう必要がある。
収納の際には、そこそこ大きいパネルと巨大な本体をしまうスペースが必要となる。
これは、ルームエアコンには無いスポットエアコンの最大のデメリットだ。
外の物置に置きたくても、重量が20キロもあるため、エレベーターがなければきついだろう。
そのため、クローゼットなどにこの巨大な筐体を格納するためのスペースが必要となる最大のデメリットが存在する。
稼働しない期間は、何も稼働していないスポットエアコンに家賃を払い続けるため、見えないコストが掛かる。
まとめ、地域やライフプランがはっきりしているユーザーにオススメ。万人向けではない
はっきり言って、雪国以外では普通のエアコンを買ったほうが良いだろう。
ターゲットとしては、賃貸暮らしで引っ越し予定であれば一時的な処置としてスポットエアコンを買ったほうが良い。
まとめとしては、常駐的な目的でスポットエアコンはオススメしない。一時的な処置としてスポットエアコンを導入するべき。
基本的にこの手の問題は、高気密工断熱な住宅に住んだ方が良いに決まっている。
なお、使用想定時間は12時間のようだが、12時間以上使用するユーザーが大半のようにも思われる。
やはり、24時間使用したいユーザーに対してもルームエアコンが適切だと思われる。
資産性の高い住居を購入するか、今回のように賃貸で将来性を見越したコストパフォーマンスを重視するか?が重要だと感じられる。
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